コラム
2026.8.27
「うちの子、もしかして敏感過ぎる?」と感じたら
大切にしたい、子供との向き合い方
このコラムでわかること
刺激に対する繊細さ・敏感さを表す「HSC」が不登校に関連する言葉としても聞かれるようになってきました。この記事では、お子さんが何に困っているのか一緒に目を向け、協力して向き合っていくために大切にしたいポイントをお伝えします。
目次
「うちの子は繊細で、他の子より刺激に敏感なのではないか」。お子さんが学校にいきづらくなった時などにそう感じて調べていくうち、敏感な子・繊細な子の特徴をまとめた「HSC」という言葉を目にして、「うちの子も当てはまる」と感じる方もいるのではないでしょうか。
けれども大切なのは、その言葉にお子さんを当てはめることではありません。この記事では、お子さんの敏感さや繊細な感受性と向き合っていくうえで、大切にしたいポイントをご紹介します。
「HSC」という言葉のとらえ方
「敏感」「繊細」「HSC」という言葉を、最近はさまざまな場面で見聞きするようになりました。
HSCとは「Highly Sensitive Child」の略称で、ひと一倍敏感な子、という意味で使われている言葉です。HSCの特徴として、「刺激に敏感」「感情の反応が強い」などが挙げられます。ただし、これは医療機関でつけられるような診断ではありません。あくまで心理の分野で語られている考え方の一つです。
加えて、その特徴はとても幅広いものです。「敏感」「繊細」という言葉から、HSC=おとなしい子供、と連想するかもしれませんが、そうとも限りません。一見社交的に見える子にも、繊細な部分はあるものです。もっと言うと、HSCの特徴の一つや二つは、誰でも持ち合わせているということ。ですから、HSCの特徴に該当することを、必要以上に気にし過ぎなくて大丈夫です。むしろ「HSCかどうか」をはっきりさせようとすると、答えのない問いに向き合うようで、かえって迷いが深くなってしまうことがあります。
では、お子さんの繊細さを理解していくにあたって、保護者はどういった点に目を向ければよいのでしょうか。鍵になるのは、「お子さんが何に困っているか」という視点です。
大切なのは「どんな子か」より「何に困っているか」
「敏感さ」のような生まれ持った性質は、本人が頑張って変えられるものではありません。「この子を変えよう」と考えてしまうと、保護者もお子さんも、少しずつ苦しくなってしまうかもしれません。
一方で、「何に、どんな場面で困っているのか」に目を向けると、変えられる部分が見えてきます。その子自身を変えようとするのではなく、まわりの環境や状況を少し動かして、困っている場面を一緒にやわらげていく。それだけで、ぐっと楽になることがあります。
そう考えると、「うちの子はHSCなのかどうか」を確かめることに、それほどこだわらなくてよいと気づけるのではないでしょうか。そしてこれは、HSCに限らず、すべてのお子さんに通じる関わり方でもあります。
お子さん自身も気づいていない「困りごと」を一緒に見つける
では、お子さんがどんな場面で困っているのかを把握するには、どうすればよいのでしょうか。
大きな音、光、匂い、暑さ寒さ、人の多さ・・・。学校生活でこうした刺激を敏感に感じ取ってしまい、学校に行きづらくなるケースは、実際に少なくありません。文部科学省の調査でも、「給食の匂いが苦手」「大きな音がつらい」といった声が寄せられています。

しかし、「何が嫌だったの?」と漠然と聞いても、お子さんからはっきりとした答えが返ってこないことがあります。これは、感覚というものは生まれつきの場合が多く、お子さん自身は「みんなも同じように感じている」「これくらいはみんなも我慢しているはずだ」と思い込んでいることがあるためです。そのため、自分が他の子よりもつらい思いをしている、ということ自体に気づいていない場合があるのです。
そんなときは、「リコーダーの音はどう?」「給食の匂いは平気だった?」というように、具体的に尋ねてみてください。そのうえで「他の子は平気でも、あなたにはつらかったのかもしれないね」と、お子さんが自分の感じ方に気づけるよう、そっと手伝ってあげられるとよいでしょう。 
尋ねるときに気をつけたいこと
お子さんからこうした困りごとを聞き取るときには、いくつか気をつけたいポイントがあります。
まず、問い詰めるような形にはせず、お子さんが傷つかないように尋ねることを意識しましょう。例えば、「これがつらい」と自分から周りに伝えること自体が、負担になる子もいます。ですから、普段の生活で好きなことについて話したりする中で困っていることにも言及してみるなど、言葉にさせること自体を目的にしないようにしたいものです。
また、何か一つ困りごとが見えたとしても、それを唯一の原因と決めつけて「じゃあこうしよう」と先回りし過ぎないようにしましょう。困りごとは複雑に絡み合っていることも多く、お子さん自身もまだうまく言葉にできていないことがあるからです。慌てず、困りごとを一緒に確認しながら聞き取りを進めていきましょう。
なお接し方そのものにも、少し気を配れるとよいでしょう。心配のあまり気を遣い過ぎると、その張りつめた空気を、敏感なお子さんはかえって感じ取ってしまうことがあります。あくまでさりげなく接するくらいが、ちょうどよいのです。
あわてず、お子さんのペースで。学校とも「一緒に考える」
ここまで、お子さんの繊細さや、何に困っているのかを確かめていく方法についてお伝えしてきました。とはいえ、はっきりとしたきっかけがあるとは限りません。日々の小さなつらさが積み重なって疲れてしまい、本人にも理由がよく分からない、ということもあります。
そうしたときは、無理に原因を特定しようとしたり、困りごとを探し出そうと焦ったりしなくて大丈夫です。すぐに解決しようと急かさないであげてください。
その上で、「学校でこういうことに困っているのかもしれない」と見えてきた場合には、学校とも共有してみましょう。その際は、「これを変えてください」と一方的に求めるのではなく、「こういうことがつらそうなのですが、どのような工夫ができるか、一緒に考えてもらえますか」と、丁寧に伝えてみる。そんな姿勢が、お子さんを支える土台になります。
もちろん、学校だけが全てではありません。敏感さをケアしながら、お子さんが安心して過ごせる環境を一緒に見つけることが大切です。そして、保護者ご自身も一人で抱え込まず、学校の先生や
スクールカウンセラーなどの専門家、そしてこうしたサイトを頼りながら、親子で一緒に歩んでいけたら――。
その一歩が、きっとお子さんの安心につながっていくはずです。
記事を監修した人

【参考文献】
子どもの発達科学研究所(2024)、文部科学省委託事業不登校の要因分析に関する調査報告
https://kohatsu.org/20240325research-report/